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2003年夏 「旅行記」

 01   なに人?
 テロやSARSの影響で、今夏の成田空港はかなり空いていた。
 しかしながらハワイだけはどの便も満席状態で、流石は不況知らずのリゾート地を物語っていた。
 我ら夫妻の乗り込んだNW機も家族連れを中心とした乗客でいっぱいで、そのほとんどが日本人旅行客だった。
 フライトアテンダントも日本人をたくさん乗務させ、すべてが日本語での対応だった。
 「楽ち〜ん、ハワイ〜」
 やがて飲み物のサービスが始まった…
 
ス:「お飲み物は何になさいますか?」
 前から順番に日本語で尋ねていく。
 じきに<ぽから>の番になり、日本人スチュワーデスが尋ねた。
 
ス:「Would you like some drink?」
 
ぽ:「へっ!? ……あっ、あ、 びーる下さい」
 
ス:「あっ、…しっ失礼しました…日本人のお客様だったんですね… (^。^;) 」
 どうやら日本人に見られなかったようだ…
 
ぽ:「フランス人とかに見えたのかなぁ〜? o(^o^)o」
 
妻:「東南アジアのどっかしかないでしょ!」
 妻は隣で大笑いだ。
 
ぽ:「ムッ… (`ヘ´)」


02   ミルク
 妻はいつも飛行機で「ミルク」を飲む。
 ところがスチュワーデスが日本人でない場合、一回ではミルクは出てこない。
 
妻:「みるく」
 
ス:「What?」
 
妻:「MILK! ミ・ル・ク! みうく! みる〜く!」
 
ス:「???… OH! understand! OK、OK!」
 で、ど〜んとテーブルに置かれるのは、決まって『ビール』だ。



03   独立記念日
 DFS(デューティーフリーショップ)の1階にはオープンテラスのカフェがあり、買い物の後はいつも立ち寄っている。
 今回もハワイの風に吹かれながらコーヒーを飲んでいると、
 突然、「バリバリ ど〜ん!ど〜ん!」 と空が光った。
 
妻:「きゃー!!あなた、雷だわぁー! プルプル…」
 妻は地震と雷が大キライなのだ。
 だが、ちょと待てよ… これは雷なんかじゃないぞ…
 アメリカ独立記念日を祝う、花火大会だったのだ。
 駆け足で浜辺へ向かう人々の流れに従い、我々もワイキキビーチへ急いだ。
 浜辺には夜空を鮮やかに染め上げる大輪の花が、次から次へ開いていった。
 ハワイの砂浜で眺める花火…なかなかオツなものである。


04   間一髪!
 ハワイへ行くと必ず訪れる場所がある。
 「この木なんの木」で有名な<モアナルア・ガーデン>だ。
 日帰りの現地ツアーでも訪れる場所なのだが、彼らは公園の入口付近の大きな木の前で写真を撮るとすぐに帰ってしまう。ここは公園の奥まで行って、ロコたちに混ざってピクニックと洒落込みたいところである。
 今回も木陰に敷物を広げ、広々とした芝生の上に腰を下ろした。
 とてものどかなひとときだ。
 ところが、
 「どす〜ん!!」
 我々の座っている1メートル足らずの所に、大きな椰子の実が落ちてきたのだ。
 こんなのが頭上に落ちてきたら大変だ!
 ハワイの公園では座る場所にも気を付けましょう!!


05   運転
 左ハンドル・右側通行・・・やはりハワイでの車の運転には気を遣う。
 しかも、意外にも一方通行の道路が多く、目的地に真っ直ぐに進めないことも多い。
 ストリート名の表示はたくさんあるけれで、走る車から一瞬にして英文を読むのも大変なことである。
 信号待ちのたびに道路地図とにらめっこ。そしてキョロキョロしながら車を走らせている。
 そんな夫の苦労も知らず、我が妻は助手席に座るとすぐに眠ってしまう。これはもはや“特技”の部類に入るほどだ。
 そして、目的地に到着するとパッと目を覚まし、
 「案外、簡単に来れたね」
 と言い放つのである。
 「・・・」
 これには返す言葉もない・・・
 


06   メニューの裏
 念願の「Eggs'n Thinggs」に行った。
 3回目にしてやっと入れた、オムレツが有名な店だ。
 朝の7時前に行ったのに、すでに店内は多くの客が朝食を楽しんでいた。
 出されたメニューはガッシリとした木のメニューで、英語ですべて書かれていた。
 乏しい語学力を駆使し、一つ一つの料理を解読していく。
 やっとのことで料理も決まり、ウェイターを呼んで注文をした。
 
ぽ:「ワン パンケーキ & ハムオムレツ… ワン スペシャルプレート…」
 メニュを指差しながら、ゆっくりとオーダーをおこなう。
 すると、ウェイター氏はおもむろにそのメニューをひっくり返し、
 
ウ:「これと、これね?」
 とメニューを指差した。
 なんと、裏面は日本語のメニューになっていたのだ…
 流石はガイドブックにもよく載る店だ。
 でも…日本人客には先に裏面を見せてくれよ…


07   ダイヤモンドヘッド登山
 今回もダイヤモンドヘッドの登山をした。
 もう何回目になるだろうか? ハワイを訪れるたびにほとんど毎回は登っている。
 今年から、車で入る場合は1台につき$5を徴収されるようになった。
 まぁ、観光地だから仕方ない。
 我が夫妻の登山は、「ゆっくりと景色を楽しみながら登る」なんて悠長なものではない。
 ただひたすら、黙々と山頂を目指すのだ。
 ちゃらちゃらした観光客たちをズンズンと追い抜き、真っ暗闇のトンネルも何のその。心臓破りの階段もピョンピョンと駆け上がるのだ。
 別にトレーニングをしているわけではない。途中の景色を見飽きただけなのだ…
 それでも、山頂からの360度のパノラマは、何回見ても飽きることがない。
 そして、この爽やかな風にいつまでも吹かれていたいと思う。


08   クレームは日本語で
 ABCストアーは自炊派の強い見方だ。食材や酒、肴、お土産… あらゆる物がこのコンビニで揃ってしまう。我々はほぼ毎日、いや、日に数回はここに立ち寄る。
 ワイン、スパム、ナッツ、お土産、etc… その日も大量に買い物をしてコンドミニアムに戻った。
 しかし、部屋でそれらを広げてみると、買ったはずの物が半分ほどしか入っていない。
 「???」
 確かに金は支払ってきた… レシートにもそれは印字されている。
 
妻:「これは抗議しに行かなくちゃ!!」
 
ぽ:「…『買ったはず』って英語でなんて言うの?」
 
妻:「……さあ? …とにかくこのレシートを見せれば何とかなるわよ!」
 と言うことで、緊張の面持ちでストアーに出向いた。
 
店:「Hi、Hello! May I help you?」
 
ぽ:「mnn… これね、買ったんだけど入ってなかったよ…」
 思い切り日本語で言った。
 
店:「???」
 
ぽ:「あの〜、これ、買った、But、無かった」
 
店:「…… Oh! Sorry、Sorry」
 アッサリと日本語が通じ、店員はこちらが示した商品を手際良く取り揃え、詫びの言葉を添えて手渡してくれた。
 熱意は <言葉の壁> を打ち壊す… かな?


09   セキュリティーチェック
 アメリカ方面は特にそうなのであろう。 空港での荷物のチェックはかなり厳重だった。
 成田空港での出国の際は、チェックイン・カウンターへ入る前にすべての預け荷物は念入りに調べられた。
 ぽからのリュックも妻のスーツケースももちろん例外ではない。
 係員によって開けられた荷物から出てきたのは…
 そうめん、白米、そば、カレー、海苔の佃煮 etc
 そう、我が夫妻のハワイ旅行は食材持参なのだ。
 
妻:「あ〜恥ずかしいわぁ〜」
 
ぽ:「同感…」

 帰国のホノルル空港では、身体に対するチェックが厳しかった。
 X線検査のゲートをくぐる時は、ポケットのコインやベルトなどのあらゆる金属類は体から外し、靴を脱いで通らなくてはならないのだ。
 係官にも緊張感が伺える。これまでみたいな陽気なアメリカ人はドコへいったのか?
 そんな物々しい雰囲気の中、<ぽから>の後からチェックを受けて出てきた妻は、なぜか満面の笑みを浮かべている。
 
ぽ:「どうしたの?」
 
妻:「係官に 『美人だね』 って言われちゃったぁ〜」
 この状況下でも陽気なアメリカ人は健在だった。
 それと…
    妻よ、そんなことで喜ぶな! 社交辞令だよ。
 


10   ビジネスクラスをキャンセル!?
 今回の飛行機の手配は旅行会社を通さずに、ノースウエスト航空のホームページで予約をした。だから、予約と同時に座席番号も決まっていたのだ。
 帰国便の座席は、窓列の3人掛けシートの通路側だった。
 落ち着いて機内を過ごすなら、中央4人掛けシートを確保するのが良い。眠っているところをトイレに行く人に起こされないで済むからだ。
 ホノルル空港のチェックインカウンターは完全自動化がされており(ツアー客を除く)、パソコンの画面に向かって各自でチェックインをおこなうのだ。
 案内に従って画面にタッチをしていくと、<座席の変更>画面が出てきた。
 現在のシート <09H、09J> と表示されている。
 
ぽ:「あれ? 当初は15Hと15Jで予約を入れたはずだけど… まぁ、いずれにしても中央列のシートに変更だ」
 慣れない機械操作に手間取っていると、カウンターの係員がやってきて、我々の予約確認書を見た。
 
係:「This is Good seat!」
 
妻:「あなた〜 この人が良い席だって言ってるよ」
 
ぽ:「But! We’d like to chenge seat!」
 
係:「…? I see…」
 なんとか無事に座席変更もでき、いざ搭乗。
 ところがところが、機内に入って自分のシート番号を探しているときに気付いた!
 変更する前の「09」シートは “ビジネスクラス” だったのだ!
 急な機材変更により、エコノミークラスがオーバーブッキングになり、この飛行機に存在しないシート番号の「15」を予約していた我々が自動的にグレードアップしていたのだ。
 それを知った途端、気持ちはブルーに…
 最後までお間抜けな我々であった。


(完)

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